中小企業・小規模事業者の課題③ : 福利厚生
中小企業は、深刻な人手不足や従業員のライフスタイルの多様化の中で、人材を確保し、そしてどう定着させるのか、といった課題を抱えています。企業の収益を従業員へ還元し、従業員の定着やモチベーションの向上をどのようにして図っていくかが、中小企業において求められている大きな課題です。福利厚生の見直しもその解決方法の一つです。。
求められているのは、単純に福利厚生施設を充実させるだけではなく、それぞれのライフスタイルに柔軟に合わせるサービスメニューなど、仕事と家庭の両立を可能にする内容へと変化していると思われます。どうやって働きやすい環境を提供できるのかをベースに福利厚生を見直すことも必要であると思われます。
(出典:ソニー生命保険 2018年社会人1年目と2年目の意識調査2018」
2018年のソニー生命保険のアンケートによれば、『良い会社(職場)』だと感じるのは、「職場の人間関係が良い」が最も多く58.3%、次いで、「福利厚生が充実している」が51.9%、その他「給与が高い」「残業前提の働き方でない」などとなっています。給与の高さよりも職場の人間関係の良さや福利厚生の充実を条件にしている人が多いことがわかります。
特に、「職場の人間関係が良い」(男性51.4%、女性65.2%)や「福利厚生が充実している」(男性43.8%、女性60.0%)、「残業前提の働き方でない」(男性31.2%、女性41.8%)では男性よりも女性のほうが10ポイント以上高くなっています。
中小企業にとっては、女性の社会進出や働き方の多様化が進み、制度としてライフスタイルのフレキシビリティを担保する福利厚生が、人材不足を解決するヒントとなっているような気がします。
中小企業における福利厚生のキーワードは
『ライフワークバランス』と『カフェテリアプラン』
従業員の満足度を上げるために、給与を上げることはもちろん大切なことですが、企業の永続的な成長を考えるとそう簡単に実施できるものでもありません。
一方で、前述のように福利厚生は、従業員の定着、あるいは採用にとっては、非常に重要なファクターとなっています。
働き方の多様化と同様、求められる福利厚生の内容はとても幅広く、健康診断費用の補助など健康・医療に関するもの、育児費用の補助や介護休暇制度など育児・介護に関するもの、住宅費用の補助など様々です。
企業の福利厚生制度は、その企業の働きやすさや、職場環境をあらわすもので、授業員の定着や採用を考えてぜひ前向きに取り組みたいものです。
《ライフワークバランス》
中小企業が、「採用」や「社員の定着」を前提に福利厚生を考えると《ライフワークバランス》を前提としたものになります。
女性やシニア(若手社員はもちろん)に活躍してもらうためには、「仕事と生活の調和」と訳されるワークライフバランスを前提に、いかに従業員一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働けるか、つまり仕事の役割をはたしながら、子育てや、介護、趣味や楽しみといったそれぞれの多様なニーズをキャッチアップできる生活を送れるか、といった観点が必要になってくるのでしょう。それは特に最近よくいわれる「健康経営」を前提としたものであることがポイントの一つです。
《カフェテリアプラン》
福利厚生制度を、従業員の多様な価値観やニーズに対応することは非常に難しいことです。
そのための対応策として「カフェテリアプラン」を活用する企業が増えてきています。福利厚生のメニューを複数用意し、各従業員が好みにあったものを自由に選べる仕組みです。従業員は自分の保有するポイントの範囲内で、自分のニーズにあったメニュー、またその時に必要なメニューをフレキシブルに選べるので企業にとっても従業員にとっても効率的な制度となります。又、アウトソーシングでカフェテリアプランのサービスを提供している企業もあるので、そういったものを利用することで導入する企業にとっても効率的な運用ができます。又、時代の変化が非常に早く、それに合わせた従業員のニーズもより多様化するので、定期的な見直しは行なって聞く必要があります。