Make

Things Happen.

​■フィンテック

FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します。身近な例では、スマートフォンなどを使った送金もその一つです。

米国では、FinTechという言葉は、2000年代前半から使われていました。その後、リーマンショックや金融危機を経て、インターネットやスマートフォン、AI(Artificial Intelligence、人工知能)、ビッグデータなどを活用したサービスを提供する新しい金融ベンチャーが次々と登場しました。
例えば、資金の貸し手と借り手を直接つないだり、Eコマースと結びついた決済サービスを提供する企業があるほか、ベンチャー企業が決済などの金融サービスに参入する動きも増えています。

また、これまで金融サービスが十分普及していなかった途上国や新興国でも、スマートフォンを利用した金融サービスが急速に広がる動きが進んでいます。さらに、分散型台帳技術やブロックチェーンといった技術も登場しています。(出典:日本銀行HP)

FinTech(フィンテック)に関する初めての総合的な報告・提言「FinTechビジョン」を取りまとめました

経済産業省は、2016年7月より「FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合」を開催し、FinTechが経済社会に与えるインパクトや課題、今後の政策の方向性等に関し、経営者等ハイレベルな視点から議論を行ってきました。FinTechに関わる実務家や有識者の意見等も踏まえ、今般、総合的な報告・提言として「FinTechビジョン」を取りまとめました。

​1.背景

近年「FinTech」と呼ばれるIoT(Internet of Things)、ビッグデータ、人工知能(AI)といった技術を使って革新的な金融サービスを提供する動きが世界中で見られます。経済産業省では、2015年10月より「産業・金融・IT融合に関する研究会」(FinTech研究会)を開催し、2016年3月にその結果を公表しました。その後、2016年7月より「FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合」(FinTech検討会合)を開催し、我が国としての課題認識や目指すべき姿、政策の基本的方向性等について検討を行い、今般FinTechに関する総合的な報告・提言として「FinTechビジョン」を取りまとめました。

2.「FinTechビジョン」の概要

「FinTechビジョン」は3つの章で構成されています。
第1章では、FinTechは何を変えるのか、何がその変化の原動力になっているのかなど、世界中が「FinTech」という言葉で捉えようとしている動きを概観しています。
第2章では、FinTechが我が国の経済・社会にもたらす効果を金融サービスのユーザーたる個人(家計)や企業の目線から考察し、「目指すべきFinTech社会の姿」を示しています。
第3章では、第2章で示した「目指すべきFinTech社会の姿」を実現するための課題と政策対応を提言しています。
併せて、FinTechによって日々の生活がどう変わるのかのイメージを示した、「フィンテックがある1日~お金が変わる。社会が変わる。~」ムービーを公開しました。

​FinTechな生活 〜お金が変わる。社会が変わる。〜

2019-11- 17.jpg

​■インシュアテック 

インシュアテック、InsurTech(: insurance technology)とは、保険(Insurance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語[1]であり、インシュアランス・テクノロジーの略。InsTech(インステック)と呼ばれることもある。

経済産業省が2017年5月に公開した「FinTech ビジョン」では「保険分野における FinTech」と定義されている。

人工知能AI)、IoTビッグデータブロックチェーンなど、先端情報技術を活用することで、保険契約者・保険金受取人や保険事業者を取り巻く様々手続きや管理を効率化・合理化し便利にするアプローチである。

具体的には、保険会社が担当する保険の引受け、保険料の運用、保険金の支払い、保険商品の販売といった業務にテクノロジーを活用して、仕事の効率や収益性を高めたり、今までにないサービスを生み出したりすることが期待できる。

矢野経済研究所によると、2016年度のインシュアテック市場規模は490億円で、2018年度は690億円、2019年度は870億円と急成長の推移が予測されており、2021年度には1,790億円にも到達すると予測している。(出典:wikipedia)

FinTech ビジョン(FinTech の課題と今後の方向性に関する検討会合 報告)

2017 年 5 月 8 経済産業省

はじめに

近年、「FinTech(フィンテック)」と呼ばれる IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、人工知能 (AI)といった技術を使って革新的な金融サービスを提供する動きが世界中で見られる。経済産業省 では 2015 年 10 月より「産業・金融・IT 融合に関する研究会(以下、「研究会」)」を開催。FinTechを取り巻く様々なプレイヤーや有識者によるオムニバス形式の対話を通じて、今、世界中で起きていること の全体像と課題、論点を抽出し、2016 年 3 月に、その結果を公表した。

さらに、研究会での議論を通じて浮かび上がってきた 11 の論点について、より広い視点から分析・検討 を深めるため、2016 年 4 月よりパブリック・コンサルテーションを実施。国内外から情報、意見の提供を得 た。

これらを受け、経済産業省では、2016 年 7 月より「FinTech の課題と今後の方向性に関する検討会 合(以下、「本検討会合」)」を開催。FinTech に関わる企業経営者や実務家、研究機関、学界、 経済団体、日本銀行、金融庁等関係機関の参加を得て、FinTech が経済社会に与えるインパクトや 課題、今後の政策の方向性等について、包括的な検討を行ってきた。FinTech については、個別のビジ ネス事例や施策対応、内外のルール作り等が行われているが、我が国政府としての課題認識や目指す べき姿、政策の基本的方向性等、広い視点からの全体像、見取り図を示すことが重要である。このよう な認識の下、本検討会合での議論を踏まえ、総合的な報告・提言として「FinTech ビジョン」を取りまとめ た。

2017 年 5 月

インシュアテックの進展 − インシュアテックの進展 −

​(損保総研レポート 第124号より抜粋)

近年、保険分野において、革新的技術を用いた業務、サービスの創造や見直しを意味 する「インシュアテック」への関心が高まってきた。

インシュアテックの領域の中でも、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)等 を利用して契約者同士でグループを作る P2P(Peer to Peer / ピア・トゥ・ピア)保険 が、従来型の保険ビジネスモデルに変化を及ぼす可能性がある動きとして注目されてい る。本稿では、欧米主要国で P2P 保険を取扱う主なスタートアップ企業の事業につい て、その仕組や直近 2 年程度の新たな取組を中心に紹介する。

これまでのところ、P2P 保険のスタートアップ企業は、総じて事業の拡大または収益 性の確保に苦労しており、現時点では既存の大手保険会社の脅威となるほどの事業規模 に至っていない。しかしながら、デジタル・プラットフォーム、AI(人工知能)等の革 新的技術の導入により、コスト削減や顧客体験の向上に努めるだけでなく、約款を極め て単純化した新商品を開発するなど、従来の保険市場にはなかった取組が積極的に進め られている。さらに、将来的にはブロックチェーン技術等との組み合わせによって市場 が急拡大する可能性も秘めている。

P2P 保険のスタートアップ企業でうまく機能するビジネスモデルや革新的技術は、わ が国の保険業界においても、条件次第で有効に活用できる可能性がある。また、P2P 保 険のスタートアップ企業は、わが国の保険会社にとって、提携、投資・買収の対象とし ても重要と考えられるため、引き続き注視する必要があろう。

わが国では、2015 年頃から、革新的技術を用いた金融サービスの創造や見直しを意

味する「フィンテック」1が銀行業務を中心に注目を集めるようになった。保険分野では、 これにやや遅れて、フィンテックの保険版ともいえる「インシュアテック」2への関心 が高まってきた。

インシュアテックの領域としては、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、 ビッグデータ、ブロックチェーン、ドローン等、様々な技術等が挙げられ、募集、引受、 保険金支払等の保険業務における活用が図られている。インシュアテックの領域の中で、 従来型の保険ビジネスモデルに変化を及ぼす可能性がある動きとして P2P(Peer to Peer)保険3が注目されている。

P2P 保険は、2010 年にドイツでフレンドシュアランスと呼ばれるスタートアップ企 業4が保険ブローカーとしてこの取扱いを開始したのが始まりとされている。その後、 イギリスや米国等でも P2P 保険のスタートアップ企業が登場してきたが、事業を拡大 している事業者のほか、既に事業を維持できなくなった事業者もある等、採用している ビジネスモデルや市場環境の違いなどにより業況に差も生じてきている。

本稿では、このような状況を踏まえ、欧米主要国で P2P 保険を取扱う主なスタート アップ企業の事業について、その仕組や直近 2 年程度の新たな取組を中心に紹介する。 本稿執筆の背景には、P2P 保険のスタートアップ企業が将来に向けて事業を拡大してい くことができるかという問題意識があり、スタートアップ企業が利用している従来と異 なる保険の仕組、革新的技術および取扱保険種目等の要素と、事業としての有効性との 関係を念頭に置いて記載することを心がけた。

既存の大手保険会社にとっては、1スタートアップ企業が採用しているビジネスモデ ルや革新的技術等の自社での導入・利用、2スタートアップ企業との連携、投資・買収 等の観点で参考になると思われる。

なお、本稿における意見・考察は筆者の個人的見解であり、所属する組織を代表する ものではないことをお断りしておく。

1 フィンテック(FinTech)は、金融(Finance)と技術(Technology)を合わせた造語であり、革新的 技術を利用し新しいビジネスモデルで金融サービスを提供するスタートアップ企業の取組も含まれる。 

2 インシュアテック(InsurTech)は、保険(Insurance)と技術(Technology)を合わせた造語であり、 フィンテックの中の 1 分野である。

3 P2P 保険には、明確な定義があるわけでないが、本稿では、個人同士(Peer to Peer:P2P)が SNS 等を利用して比較的属性の揃った契約者グループを作り、割安な保険に加入するタイプの保険を意味する。 P2P 保険が事業の拠所とする SNS 自体は革新的技術とはいえない可能性があるが、近年、広く普及して きたデジタル技術であり、本稿ではインシュアテックの事例に含めて考える。

4 スタートアップ企業は、一般的に、革新的技術や新しいビジネスモデル等を用いて事業を展開し、創業 から間もない企業を指すことが多い。本稿では、概ね過去 10 年以内に創設され、革新的技術や新しいビ ジネスモデル等を用いて事業を展開する企業を意味し、新しいビジネスモデルで保険の引受や仲介を行う 企業や、革新的技術を利用して既存の保険会社や保険仲介者を支援する企業も含むものとする。一般的に、 スタートアップ企業は、事業を拡大する途上にあるため、外部から資金を調達する必要があり、この投資 主体にはベンチャーキャピタル等がある。インシュアテックのスタートアップ企業では、元受保険会社や 再保険会社からの投資も重要な位置を占めている。

P2P 保険の登場・発展の背景
P2P 保険の登場とその後の発展に関連する主な環境変化として、次の 3 点が挙げら

れる。

○ デジタル・ネイティブ世代12の台頭とSNS、モバイルアプリ利用の進展 国・地域により変化のスピードに違いがあるものの、インターネットやスマー トフォンの普及により、商品やサービスに対する消費者の意識や行動が変化して きている。SNS やモバイルアプリの利用者も増加している。今後、デジタル・ネ イティブ世代が購買層の中心になれば、この割合はさらに高まる。保険分野にお いても、情報入手や保険加入、保険金請求の手続等において SNS やモバイルア

プリ等を利用するニーズが高まってきている。

○ 規制・監督面における支援

インシュアテックを含むフィンテックに関し、規制・監督の面から支援する動 きがある。例えば、イギリスでは、金融行為規制機構(Financial Conduct Authority:以下「FCA」)が、レギュラトリー・サンドボックス(Regulatory sandbox)を設けて、フィンテック企業の支援を行っている。レギュラトリー・ サンドボックスは、革新的なビジネスモデルを目指す事業者に対し、範囲を限定 して現行制度による規制の枠を緩めて社会実験を行える環境を提供する仕組であ る。例えば、イギリスのボート・バイ・メニーは、起業の際にレギュラトリー・ サンドボックスを活用し、「FCA の支援のおかげで、書類提出から 3 カ月以内で 全面的な営業認可を得ることができた」としている13。

○ 金融分野におけるP2Pレンディングやクラウドファンディングの発展
P2P 保険発展の直接的な要因ではないが、金融分野においては、クラウドファ

ンディングやこの 1 分野に位置付けられる P2P レンディング等が発展してきた14。 保険分野における P2P 保険も、このような動きにやや遅れて広がりがみられるよ うになってきた。

(3)P2P 保険の特徴
典型的な P2P 保険の主な特徴として、次の 2 点が挙げられる。

12 デジタル・ネイティブ世代とは、幼少期からインターネットやデジタル機器が普及した環境で育ち、 抵抗感なくデジタル環境を活用する世代である。わが国では一般的に 1980 年代以降生まれとされること が多い。ミレニアル世代等とも呼ばれる。
13 Post Magazine, “On the Soapbox #wakeupinsurance” (2016.3.10)

14 クラウドファンディングはインターネット上で不特定多数から資金を集める仕組であり、P2Pレンデ ィングは従来型の銀行等を介さずにインターネット上で個人等の資金の貸手と借手を結び付ける仕組で ある。P2P レンディングは、2005 年にイギリスで開始され、2010 年頃から欧米主要国を中心に急拡大し てきている。

○ 従来型の保険と異なる「保険の仕組」
典型的な P2P 保険では、保険契約者同士でグループを形成し、少額の保険金支

払の場合、グループのプールの中でその損害がシェアされ、グループのプールで カバーできない保険金支払については、提携している元受保険会社や再保険会社 がカバーするのが一般的である。このような仕組の採用により、各契約者のグル ープへの帰属意識や責任意識が高まり、保険金請求を抑制できると考えられてい る。各スタートアップ企業によって、契約者をどのようにグループ化するか、保 険金支払後に残った保険料をどのように返還または使用するか等の方法に特色が ある。

○ 革新的技術の利用
多くの P2P 保険では、SNS 等を利用して契約者を募るほか、デジタル・プラ

ットフォームを導入し、AI、モバイルアプリ等の革新的技術を利用して、コスト 削減や顧客体験の向上を図っている。

損保総研レポート 第124号 2018.7

インシュアテックの進展 - 保険の事例を中心に-

グループリーダー 主席研究員 牛窪 賢一 より一部抜粋