中小企業・小規模事業者の課題② : 生産性の向上
経済産業省が出しています『中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン(平成27年1月)』の本文冒頭には以下のように書かれています。
現在、多くの企業では、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。
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売上を出しても会社の利益が一向に上がらない。
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労働時間が長くて忙しいが賃金を上げられないため、良い従業員が集まらない。
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せっかく人材を採用しても定着しない。
サービス業は、現場でサービスを提供する「人」が付加価値の源泉です。従業員の質 が低ければ経営にとって大きなマイナスとなるため、雇用を維持する人件費や人を育て る教育費を安易に削減することは慎重な検討を要します。 また、人口減少社会の下で人手不足が顕在化する中、良い人材を確保し、スキルを身 につけて定着してもらうためには、相応の賃金とやりがいある職場が必要です。つまり、 売上げをしっかり確保し、賃金も利益も確保する経営を目指す必要があります。 このためには、従業員 1 人あたり(もしくは時間あたり)の生産性を上げることが必 要です。すなわち、「労働生産性」の向上です。
自社の状況に当てはめて未来に向けての生産性の向上を今一度考えてみてはいかがでしょうか?
企業規模別の経常利益
中小企業庁調査室 2018年度版「中小企業白書・小規模企業白書」
中小企業の経常利益は過去最高水準にあります。さらに景況感も改善傾向にあるものの、依然として大企業との生産性格差は拡大。中小企業の生産性向上が急務となっていることがわかります。
企業規模別労働生産性の推移
中小企業庁調査室 2018年度版「中小企業白書・小規模企業白書」
設備投資やIT導入などの生産性向上に向けた取組は、業務プロセスの見直しと併せて実 施することで一層の効果が期待されます。
業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提となっています。
業務見直しの実施有無別に見た、他の生産性向上策により
労働生産性が向上した企業の割合
中小企業庁調査室 2018年度版「中小企業白書・小規模企業白書」
労働生産性を向上するためには大きく2つの方向性があります。
≪付加価値の向上(売上げ向上)≫
⇒提供するサービスの価値をあげる
≪効率の向上(コスト削減)≫
⇒時間や工程を短縮する
中小企業白書・小規模企業白書(2018年度版)に紹介されている事例では、従業員17名、資本金300万円が
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徹底した業務の見える化
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稼働状況を収集・分析するITシステムを構築
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稼働率向上に向けて、PDCAを回した
上記の効果が
稼働率は約20%向上。結果、利益率は3.9倍
一度自社の事業も見直してみるべきではないでしょうか。
生産性向上を目指すための手法
経済産業省 中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン(平成27年1月)より抜粋
生産性向上を目指す手法は、業種や地域、規模などによってさまざまかと思いますが、
売上げ向上を目指す場合、「客単価を上げる」、「新規の客数を増やす」「リピーターを増やす」、「商品回転率、客席回転率を上げる」といったことを考えるでしょう。
一方で、コストの削減にITは欠かせません。いまだに自社のホームページを持たない企業が散見されます。すぐできるところから始めてみるのも良いのではないでしょうか。