top of page
事業承継補助金.jpg

平成29年度に創設された「事業承継補助金」。事業承継をきっかけとして、経営革新や事業転換に取り組む中小企業者などを支援するものです。平成29年度補正予算事業では、「後継者承継支援型」(Ⅰ型)及び「事業再編・事業統合支援型」(Ⅱ型)の2つの申請類型を設けて実施し、「後継者承継支援型」の募集期間は2018年4月27日(金)から2018年6月8日(金)までです。 
今回は、平成29年度補正予算事業における申請のポイントなどをお伝えします。 
(2018年5月7日インタビュー実施)

切れ目なく事業承継を支援!

(経済産業省、2017年10月)によると、中小企業の高齢化が進み、2025年には247万者の中小企業において経営者の年齢が70歳を超えると予測されていますが、その中で半数は後継者未定と考えられています。 
この状況を放置すれば、2025年までに22兆円のGDPと650万人の雇用が失われると考えられており、この中には優れた技術やノウハウを有する企業も数多く含まれます。そのような企業が後継者不足による廃業に陥ることがないよう、国としても事業承継補助金をはじめとした切れ目のない事業承継支援策を講じています。 
平成29年度補正事業承継補助金については、平成29年度当初予算に比べて規模が大幅に拡大されています。

 

補助金の概要

日本国内で事業を営む中小企業・小規模企業者、個人事業主、特定非営利活動法人が申請可能です。中小企業の定義については、中小企業基本法の考え方に則ります。 
補助対象事業は、地域に貢献する中小企業者などが、後継者による経営革新や事業転換などの新たな取組を行うものであることが必要です。 
なお、事業承継をきっかけとして新商品開発や生産性向上などの経営革新にチャレンジするという内容であれば、必ずしも業種転換を要さないこととしています(「日本標準産業分類」における別業種への転換は必要ありません)。

また、事業承継は2015年4月1日から補助事業完了日(最長2018年12月31日)までに事業承継(代表者の交代)を行えばよいこととしています。これらの点については、平成29年度当初予算事業と同様の考え方となっています。

事業承継1.jpg
中小企業11.jpg

平成29年度当初予算事業との変更点

(1)事業再編・事業統合支援型(M&Aタイプ)の創設 
M&Aなどによる事業再編・事業統合を伴う取組について、補助上限を引き上げた上で新たな申請類型として「事業再編・事業統合支援型」を独立させました。事業再編・事業統合などの後に行う新しい取組が対象です。対象となる取組の例としては、合併/会社分割/事業譲渡/株式交換・株式移転/株式譲渡などが考えられます。こちらは、7月上旬頃から募集を開始する予定です。

承継時において、事業を引き継ぐ者が個人事業主として既に他の事業を営んでいる、または他の法人の議決権の過半数を所有している方である場合は、事業再編・事業統合支援型に応募いただくことで補助上限額がより高いものとなります。なお、「後継者承継支援型/事業再編・事業統合支援型」への応募は事業を引き継ぐ者1者につき1件を限度としますので、ご注意ください。
日程や要件などの詳細を今後、中小企業庁のホームページなどで公表しますので、活用をご検討の事業者の方におかれましては、続報をお待ちいただければと思います。

(2)補助額の見直し 
平成29年度当初予算事業において、本補助金の補助率は一律3分の2でしたが、29年度補正予算事業では2分の1補助が設けられました。これは前回の実績を踏まえ、より多くの中小企業者などの皆さまに利用していただくために見直したものです。 
詳細は図をご覧ください。

申請のポイントは「独創性」「実現可能性」「収益性」「継続性」

応募申請には経営革新など「新たな取組」を行うことを要件としていますので、その取組の内容が審査において重視されます。審査に当たっては新たな取組の「独創性」「実現可能性」「収益性」「継続性」という着眼点に基づき、専門家などが審査します。

また、本補助金には以下のような加点事由が設けられています。

  • (1)債権者調整プロセスを経て、各プロセスの支援基準を満たした債権放棄などの抜本的な金融支援を含む事業再生計画を策定した場合

  • (2)「中小企業の会計に関する基本要領」及び「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けている場合

  • (3)経営力向上計画の認定を受けている場合

  • (4)応募者の地域経済への貢献内容(基本的に、証する資料の提出ではなく、応募様式に記述された内容を評価します。)

(4)の「地域への貢献度合いを測る要素」ですが、具体的には以下のような点に着目することとしています。 
あくまで一例ですので、申請企業の取組・成長が地域経済に波及効果をもたらし、地域経済の活性化につながるものであれば、この他の取組でも結構です。

  • ・地域の雇用の維持、創出などにより地域経済に貢献している。

  • ・所在する地域または近隣地域からの仕入(域内仕入)が多い。

  • ・地域の強み(技術、特産品、観光、スポーツなど)の活用に取り組んでいる。

  • ・所在する市区町村及び近接する市区町村への売上規模、または所在する市区町村及び近接する市区町村以外の地域への売上(域外販売)が多い(インバウンドなどによる域内需要の増加に伴う売上も含む)。

  • ・新事業などに挑戦し、地域経済に貢献するプロジェクトにおいて中心的な役割を担っている。

昨年度実績と今年度の見通しについて

平成29年度当初予算事業では、応募申請を検討している中小企業者などの皆さまのみならず、様々な支援機関、金融機関などから多岐にわたる問い合わせをいただき、注目度が高い事業と実感しています。 
平成29年度においては申請件数517件に対して、採択件数は65件でした。採択企業は、製造業、飲食業、小売業、サービス業、ITベンダーなど幅広く、取組の内容も非常に多岐にわたっております。 
採択された事業者の皆さまの取組の概要は、この「採択一覧」のとおりですので、ぜひご覧ください。

平成29年度補正予算事業では、採択の想定件数を600件程度と予測しており、昨年の10倍近くに拡大されたことで、採択のチャンスが広がったといえます。ぜひ、ご活用を検討いただければと思います。

応募を検討する皆さまへ

この補助金に限ったことではありませんが、支援制度の活用に当たっては事業者が主体的に中長期的な計画を立てる事が重要です。事業承継補助金は事業承継という大きな転換期に行われる「新たな取組」に対する支援ですので、一過性の取組ではなく、事業承継や事業引継ぎの計画の中で位置づけておくことが望ましいと考えます。 
事業承継を検討している中小企業の皆さまにおかれましては、必要に応じて専門家や支援機関、金融機関などにご相談いただき、サポートを受けつつ、「新たな取組」の検討を進めていただきたいと思います。

bottom of page