中小企業・小規模事業者が取り組む、経営力向上に貢献する革新的サービス開発や、試作品開発、生産プロセスの改善などを行うための設備投資などの一部を支援するのが「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(通称:ものづくり補助金)」です。
平成29年度補正予算の公募が、平成30年2月28日(水)から始まっています。郵送での応募締め切りは、平成30年4月27日(金)当日消印有効です。電子申請は、平成30年4月中旬に開始予定で、5月1日(月)15:00が締め切り、採択は6月中がめどです。
本記事では、6年目となる今年度の変更点を中心に、申請で気を付けるべき点などをお伝えします。
※本記事は2018年3月9日の取材をもとに執筆・掲載しています。
「企業間データ活用型」を新設!
「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(以下「ものづくり補助金」という。)」の対象は、日本国内に本社と工場などの実施場所を持つ中小企業に限ります。「革新的サービス」、「ものづくり技術」の2つの対象区分に、それぞれ「一般型」、「小規模型(設備投資のみ、試作開発等)」、「企業間データ活用型」の事業類型があります。事業類型に「企業間データ活用型」が新設されたことが今回の特徴です。
従来、ものづくり補助金は、1社での申請が多かったのですが、今回新設された「企業間データ活用型」は、10社までの複数中小規模事業者が、事業者間でデータ・情報を共有・活用することにより、連携全体で新しい生産性の向上や付加価値の創造を生み出すプロジェクトを支援します。
これは、2017年3月のドイツ情報通信見本市で、安倍晋三総理、世耕弘成経済産業大臣などが出席し、目指すべき産業の在り方として「Connected Industries」の概念を提唱し、推進しているという政府の動向とも連動したものです。1つの連携したプロジェクトで、参加する企業のそれぞれが購入する機械設備などを変えることで、全体の生産性を高めていくなどの形での申請が可能になります。これまで申請は事業所の所在地で行われていましたが、複数の県にまたがるような、地域を超えて連携した形でも、1つの事業として申請が可能となっています。
データの連携に取り組みたいが、未だに紙で受注をしているとか、多品種小ロットのためのデータ管理がうまくいかず、紙で注文が来ているなど、これまでやってきた形を脱し、より生産性を高めていくための取り組みを国が後押しをしていくものです。
ものづくり補助金では、昨年度も「第4次産業革命型」の公募がありましたが、常に新しい中小企業のニーズに応えることを考えています。
補助率が変更になった事業類型に注意
ものづくり補助金の補助上限額は、「企業間データ活用型」と「一般型」では1,000万円、「小規模型」では、設備投資のみが500万円、試作開発等が500万円です。申請の受付は1社1事業となっています。「企業間データ活用型」で複数社で申請した場合には、その中の1社が単独で別に申請することはできません。
注意が必要なのは、昨年と比較して補助率が変更になっている事業類型があることです。「一般型」は2分の1に、「小規模型」は小規模事業者の場合3分の2に変更されています。しかし、「一般型」でも「先端設備導入計画」の認定を取得するなど、いくつかの要件実現で3分の2にすることができます。詳しくは、ミラサポサイトの「補助金・助成金ヘッドライン/ものづくり補助金」を参照してください。また、技術指導を受けるなどの専門家活用によって、1,000万円の上限にさらに30万円のアップが可能です。
何のために何が必要なのかのストーリーをしっかり立てる
申請書作成のポイントとしては、「ものづくり補助金」は課題解決や生産性の向上が目的である点を確認してほしいということです。問い合わせでよくあるのが「この機械を買いたいのだが、補助の対象になるだろうか?」というものです。どんな機械でも対象になるのですが、その機械の購入が課題解決に役立ち、生産性向上に貢献することが大切です。そこをストーリー立てて申請してください。
申請書の中には、自社の沿革や詳しい市場分析はあっても目的がないケースがあります。背景として、何がやりたくてそのために何の機械が欲しいのか、といった内容をコンパクトにまとめてください。申請書の分量が少なくて落ちるということはありません。
前回は、1万5,000者の申請で6,000者への補助が実施されました。人気があってなかなか受からないと言われることもありますが、今年度は二次公募を予定しているため、チャンスは2回あり、一次で落ちた企業はもう一度チャレンジできます。
今回の対象要件では、「革新的サービス」と「ものづくり技術」に申請する場合、3~5年計画で「付加価値額」を年率3%、そして「経常利益」を年率1%の向上を達成する計画の根拠を記入する必要があります。これまでは単に「増大」という表現だったのが、具体的な数字が示されるようになりました。採択後、事業実施では成果目標を5年間見ていっていただき、事業化状況の報告義務があります。販売実績や利益まで見据えて事業計画を立てて申請してください。また、事業化状況報告において、事業化段階の高い事業者の方は、ビジネス・マッチング会への出展も可能となりますので、事業化に向けて取り組んでいただきますようお願いします。
ぜひご活用ください!
事業類型に「企業間データ活用型」が新設されたことが今回のものづくり補助金。「公募要領」は全国中小企業団体中央会 各都道府県地域事務局ホームページからダウンロードできます。電子申請は、申請のエラーチェック機能があって便利なので、ぜひ申請時にご利用ください。問い合わせ・届け出先は、都道府県の地域事務局(中小企業団体中央会)へお願いします。「ものづくり補助事業関連サイト」では、過去の採択案件の事例集がご覧になれます。地域や業種でキーワード検索もできますのでぜひご活用ください。たくさんのご応募、お待ちしています。