〈東京海上ホールディングス株式会社〉
東京海上ホールディングス株式会社(取締役社長 グループ CEO 小宮暁、以下「当社」)こた び、当社子会社 HCC Insurance Holdings, Inc.(以下「TMHCC」)を通じ、米国富裕層(High Net Worth, 以下「HNW」)向けに特化して保険商品・サービスを提供する Privilege Underwriters, Inc.お よび傘下子会社(以下「Pure(ピュア)グループ」)を買収(以下「本件買収」)することで、Pure グル ープ株主と合意いたしました。なお、本件買収関係当局認可・承認が条件となり、2019 年 度第 4 四半期(2020 年 1-3 月)中完了を予定しております。
1. 本件買収背景
(1) 東京海上グループ(以下「当社グループ」)、グローバル保険グループとして、海外保
険事業規模・収益拡大をグループ全体成長ドライバーと位置づけ、先進国および 新興国両市場において、内部成長力強化と戦略的な M&A 推進により、グローバ ルな成長機会と分散効いたポートフォリオ構築を常に追求してきました。
(2) こうした戦略下、先進国において2008年以降キルン、フィラデルフィア、デルファ イ、HCC 買収を実施し、スペシャルティ種目を中心とした分散効いたポートフォリオ を構築してまいりました。また新興国においても、豪州 IAG 社タイ・インドネシア損保事 業を買収し、南アフリカおよび周辺国で生損保事業を展開するホラードグループへ出資 するなど、今後中長期的に大きく拡大すると見込まれる新興国市場において、積極的に 成長機会を追求してきました。
(3) 一方、先進国において今後より収益性が高く安定したスペシャルティ種目を中心と する元受保険事業にフォーカスするという観点から 2019 年 3 月に当社再保険子会社 Tokio Millennium e を売却するなど、現在グローバル事業環境変化と当社海外保 険事業戦略に適合した事業ポートフォリオ見直しを進めてきました。
(4) Pureグループ、2006年創業以来HNW保険市場において豊富な知見・実績を有す る経営陣下、同市場に特化して急成長を遂げているスペシャルティ保険グループで す。
(5) 当社グループ本件買収を通じ、世界最大米国損保市場において高い成長が期待さ れる、フィー収入主体収益が安定した資本負荷小さい事業を獲得することできま す。また Pure グループ当社グループ既存米国事業とオーバーラップが限定的 で補完性高い事業であることから、海外保険事業規模・収益更なる拡大と、より分散の効いたグローバルポートフォリオ構築により、グループ全体資本効率向上 と持続的な収益成長を実現できると考えております。
本件買収概要
(1) 買収対象: Privilege Underwriters, Inc.およびそ傘下子会社(Pure グループ)を TMHCC
を通じて買収します。
(2) 買収条件等:
31 億米ドル(約 3,255 億円)(*1) Pure グループ税引後利益、2020 年 12 月期 95 百万米ドル程度、2023 年 12 月期 200 百万米ドル程度を想定しております。2020 年 12 月期利益予想に対する PE 33 倍程度(*2)となります。 (*1) 為替レート 1 米ドル=105 円で換算 (*2) 類似ビジネスモデルを有する上場企業 PE と同程度水準
当社、Pure グループ資産内容・事業内容等について、慎重に分析および検討を重
たうえ、こ買収価格が公正かつ妥当なもであると判断いたしました。
(3) 買収資金:
本件買収ため資金、当社グループ内手元資金および外部から調達資金(資
本性劣後債発行を検討)を予定しています(エクイティファイナンス行いません)。
(4) 買収手法・手続き:
TMHCC が Pure グループ既存株主へ対価を支払うことにより、Pure グループ株式 を 100%取得します。また本件買収関係当局等認可・承認が前提となります。スケジ ュールに関して今後やかに手続きを進め、2019 年度第 4 四半期(2020 年 1-3 月) 中に完了する見込みです。
買収対象会社概要
(1) 名称
Privilege Underwriters, Inc. (プリビレッジ・アンダーライターズ社)
(2) 所在地
米国ニューヨーク州 ホワイトプレーンズ市
(3) 代表者役職・氏名
President & CEO oss Buchmueller (ロス・ブックミューラー)
(4) 事業内容
同社持株会社で、傘下にマネジメント会社、 保険会社等を保有
(5) 設立年月日
2006 年 1 月 5 日
(6) 最終株主及び持分比率 (2019 年 9 月 30 日現在)
stone Point Capital 51%
KKR 34%
AXA XL 10%
同社役職員 5%
(7) 当該会社2018年12月期主要連結財務指標
フィー収入
229 百万米ドル
税引前利益
73 百万米ドル
税引後利益
52 百万米ドル
純資産
87 百万米ドル
(参考) 2018 年 12 月期 取扱保険料 (注)
963 百万米ドル
(注)マネジメント会社による取扱保険料(下記 4.(1)3参照)
4. Pure グループビジネスモデルと取扱商品・サービス・販売チャネル
(1)ビジネスモデル(別紙 1 参照):
Pure グループビジネスモデル概要以下とおりです。 1 保険引受「レシプロカル」と呼ばれる、保険契約者同士互助関係を基礎とし
た組織(日本共済に類似)が行います。但し「レシプロカル」所有者保険契約
者であり、本件買収対象外となります。 2 「レシプロカル」引受けたリスク過半を再保険マーケットに出再しています(一部
Pure グループ傘下保険会社でも引受)。また「レシプロカル」資本、原則保険
契約者から拠出金で賄われます。 3 一方、本件買収対象となる Pure グループ主要事業「レシプロカル」から委
任に基づきマネジメント会社が行う「レシプロカル」全般業務運営(保険引受、損害 サービス、証券発行等事務など)であり、そ対価として受領するフィー収益がグ ループ収益大部分を占めています(*)。 (*) そ他収益としてグループ傘下ブローカーおよび美術品等損害サー
ビス会社が得ているフィー収益と、グループ傘下保険会社が引受ける「レシプ
ロカル」から再保険事業収益があります。
(2)主な取扱商品・サービス・販売チャネル(別紙 2 参照):
取扱商品(注)
住宅火災保険(57%)、自動車保険(23%)、動産保険(9%)、そ他
主なサービス
・契約者毎に専属スタッフが損害・そ他サービス窓口を一貫し て対応(コンシェルジェサービス)
・加入時物件リスクサーベイを通じた適切な保険金額設定、 防犯・防災対策および事故再発防止策アドバイス提供
・山火事等発生時における損害拡大防止に係るサービス提供
販売チャネル
大手保険ブローカー、HNW 保険専門ブローカー、大手保険会社と 提携等
(注)括弧内 2018 年マネジメント会社による取扱保険料種目別内訳 (3) 「レシプロカル」詳細:別紙3をご参照ください。
Pure グループ特長・強み
(1) フィー収入主体安定収益を期待できる資本負荷小さいビジネスモデル
Pure グループビジネスモデル「保険契約者自身が保険事業所有者であり、保険 事業経営と契約者と一体感が醸成されるレシプロカルという事業形態」、「レシプロ カル事業運営受任によるフィーがグループ収益大層を占める安定的な収益構造」、 「再保険や保険契約者から拠出金を活用した外部資本調達」が大きな特長です。これ により高い顧客ロイヤリティと、フィー収入主体安定した収益を期待できる資本負荷 小さいビジネスモデルを実現しております。
(2) 米国 HNW 保険市場に特化し、高い成長を実現(別紙 4、5 参照) 米国 HNW 層人口、米国全体人口増加率を大きく上回るペースで増加しているこ とから、HNW 保険市場将来にわたって高い成長が期待できる米国でも希少なビジネ スセグメントです。Pure グループ 2006 年創業以来急成長を遂げ、過去 5 年間 取扱保険料年平均約 30%で拡大する等、設立 10 年強で約 10 億米ドル規模を実 現したスペシャルティ保険グループです。
(3) 業界最高水準高い顧客満足度・契約更新率(別紙 6 参照) Pure グループきめ細かな引受方針下、リスクに見合った保険料提示と、高品質 サービス提供により、高い顧客満足度と契約更新率を実現しています。
(4) HNW 保険事業に豊富な知見と実績を持つ経営陣 Pure グループ HNW 保険市場における豊富な知見と実績を持つ経営陣を有していま す。特に、創業者かつ President & CEO ロス・ブックミューラー氏米国 HNW 保険市 場におけるトップ企業であるチャブ社で勤務した後、AIG 社に転じて同社 HNW 保険部 門を新規に立上げ、そ後 2006 年に Pure グループを設立するなど、HNW 保険事業で 30 年以上経験と豊富な知見を有し、優れた実績を挙げてきた経営者です。なお、 Pure グループ本件買収後も現経営陣による事業運営を継続します。
本件買収戦略的意義
(1) 米国におけるスペシャルティ保険事業更なる拡大(当社既存事業とオーバーラップ
が限定的で補完性が高い) Pure グループ当社グループ買収基準(*)に合致しており、本件買収当社グルー プこれまで M&A 戦略と一貫した、海外保険事業コア事業である先進国における スペシャルティ保険事業更なる拡大に資するもです。また、米国における当社既存事業とオーバーラップも限定的です。 (*)当社グループ買収基準
強固なビジネスモデル 高い収益性 カルチャーフィット(価値観を共有できる優秀な経営陣存在)
(2) 当社グループ収益持続的成長および更なる安定化と資本効率向上 本件買収により海外保険事業更なる規模、収益拡大を実現します。また Pure グル ープ事業、フィー収入主体で収益が安定的であり、かつ当社既存米国事業と オーバーラップが限定的で補完性高い事業であることから、当社事業ポートフォリオ 一層分散が進み、グループ全体資本効率向上が図れます。
(3) 両社強みを活かしたシナジー創出 当社グループ強みと、Pure グループ HNW 保険市場における良質な顧客基盤を組 み合わせて以下様な施策を推進していきます。
強固な財務力を有する当社グループ入りによる Pure グループ信用力引上げに
伴う顧客基盤更なる強化・拡大。
Pure グループから再保険引受などを通じた同グループへキャパシティ提供と
当社グループ収益拡大。
当社グループ既存米国現法が有するスペシャルティ保険商品 Pure グループ
顧客へクロスセル。
7. 当社アドバイザー 財務アドバイザー:三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社/Morgan tanley & Co. LLC 法務アドバイザー:ullivan & Cromwell LLP 会計・税務アドバイザー:KPMG LLP
Comentários