今回取り上げるのは、試作品・新商品・新サービス開発や生産プロセスの改善など、きめ細かく顧客ニーズをとらえる創意工夫に取り組むためにぜひ活用したい「ものづくり・商業・サービス補助金」。

本年度の募集では、製造業の方はもちろん、商業・サービス業の方も対象となります。
(※平成25年度補正事業の募集は終了しました。)

補助金申請のポイント

昨年度、採択件数 全国第7位の実績を持つ群馬県。自動車産業に関連した事業者が多い土地柄から、事業者支援も積極的に行って参りました。2月17日に公募開始された今年度の「新・ものづくり補助金」では、昨年度より更に多くのご相談をいただき、1次公募・一次締切を目前に控え、当機構の相談対応件数は、200件に上ります。認定支援機関の立場から、採択に繋がる申請をするための『ご支援取り組み』と『申請書のポイント』について、お話したいと思います。

公益財団法人 群馬県産業支援機構
経営相談室 瀬古裕美室長

【公益財団法人群馬県産業支援機構】

中小企業の競争力強化、地域経済の活性化に向け、創業、経営革新の促進、新産業の創出、産学連携の推進など、経営から技術まで幅広い相談に応じる公益財団法人。企業と一緒になって、経営課題の解決や事業展開の支援に取り組む。平成24年度「旧ものづくり補助金」での、手厚くきめ細かい支援が話題となり、メディアでも紹介される。

中小企業・小規模事業者へ積極的にアプローチ。時には黒衣(くろこ)役にも

当機構では、経営支援課、工業支援課の2つの窓口で事業者へのご支援を行っております。経営支援課では、経営戦略や財務、創業などの課題に関する総合相談窓口や専門家派遣などの経営支援が対象です。工業支援課では、展示会及び、受発注先斡旋商談会の開催などの取引開拓支援と、ものづくり人材育成及び、現場改善支援などのものづくり技術・産学連携支援を行っております。今年度は補助金範囲がものづくりからサービス等に拡大したこともあり、経営支援課の支援領域を広げ、2つの課の連携も強化しています。

また、認定支援機関である銀行、信用金庫といった金融機関が開催する「新・ものづくり補助金」の相談会では相談員として参加し、事業者へアドバイスを行います。その場合、申請時は、金融機関が認定支援機関として立ち、当機関はアドバイスという形でサポートを行うという黒衣(くろこ)役に徹します。金融機関が支援していることは、事業者が採択後の資金繰りを、審査員にアピールするポイントになる可能性があるためです。"事業者にとって本当に必要な支援"が行われるようなサポートをしたい。それには支援側の体制が重要と考え、金融機関や企業間での連携を大事にしています。

群馬県では事業者への説明会を開催する際、参加事業者に、どこから支援を受けたいかについてアンケートを取ることがあります。当機構を指名された事業者には、こちらからお声掛けをし、補助金やその他の支援策など経営についてのご相談を承っています。

事業の根本から親身にアドバイス

補助金についてのご相談を受けて最初に確認するのは、「やりたいこと」を実現するために補助金が該当するかどうかです。無理に補助金を申請することで、却って事業の方向が揺らいでしまうことにもなりかねません。補助金ありきで申請内容を考えるのではなく、ご自身の経営ビジョンや事業計画を達成するために補助金が必要かどうかが大切です。企業の事業戦略の出口の一つが補助金です。

また、たとえ補助金の条件に合わなかったとしても、当機構ではそこで相談が終わる訳ではありません。専門家派遣など、様々な支援をご提案し、事業者様に合わせてご案内しています。

特に申請書内容で漏れがちなのは、事業者の「長所」や「強み」です。たとえば仕入れに力を入れ、こだわりのある事業者と連携していたとしても、単に"仕入れ"と記載してしまい、良いところを伝えそびれてしまうことがあります。経営者ご自身では当たり前と思っていることが「長所」や「強み」であることも多いため、申請書を書く際には、"当たり前を見直す"という発想で臨むと良いかもしれません。
申請書作成に向けては、「技術面」「事業化面」「政策面」などのポイントを記載したチェックシートやマニュアルを渡し、初心者にも気軽に申請できるようアドバイスしています。​

「革新性」を書類に表現するように工夫。まずは申請書類に向き合いましょう

申請書類作成では、5W1Hといった原則を押さえ、誰にでも分かるような書き方が基本です。また、「新・ものづくり補助金」については、「事業実現性」、「市場性」、「革新性(新規性)」、「地域貢献」などの視点が盛り込まれていることも重要ではないかと考えます。
「革新性(新規性)」については、中小企業庁や各都道府県で公開している「経営革新計画申請書」を活用して、情報・数字を棚卸しする方法がお勧めです。

「新・ものづくり補助金」は、22分野から11分野となり、「革新性」というキーワードが加わったことによる採択ハードルがどう変化したかが、今回のポイントと考えています。書類作成に手間取っていたり、事業計画が詰まりきっていない事業者については、1次公募・二次締切を視野に入れてじっくり取り組む方法を勧める場合もありました。1次公募・一次締切の採択企業を見て、対策を練ることも視野に入れても良いかもしれません。
但し、申請書類の準備・作成には大変な時間がかかりますので、締切までまだ時間があると思わずに、先手先手で進めることが重要です。

「想い」を書くことが申請への第一歩。チャンスを掴むには、出来るところから始めましょう

補助金申請は、書類に向き合い「想い」を書くことから始まると思います。1~2行でも、箇条書きでも構いません。難しい言葉も要りません。「想い」を吐き出していただくことで、こちらから支援出来る部分が生まれます。

企業には常に新しい創意工夫が求められます。新しい創意工夫をするためには、一歩を踏み出すことが重要です。まずは無理をせずに出来るところから始めることが大切です。
セミナーに参加し、人とのつながりを持ったり、経営について考えるきっかけを持つことから始めても良いかもしれません。群馬県では、様々な切り口のセミナーを開催しており、チャンスは沢山あります。普段から経営者のみなさまが、補助金や支援情報などへのアンテナを広げておくことによって、ご自身に合った情報をいち早くキャッチ出来、活用可能性も拡がると考えます。

補助金採択までのハードルは決して低くありませんが、採択に向け一緒になって頑張りましょう。

昨年度好評をいただいた「ものづくり補助金」。今年度は、対象をものづくりだけではなくサービス等にも拡大して、非常に使いやすいものにしました。皆様からたくさんのお問い合わせをいただいているところです。2月17日から公募が開始されていますが、『採択されやすい申請の4つのポイント』について、改めてお話したいと思います。

中小企業庁 創業・技術課
黒田俊久 課長補佐

申請のチャンスは2回。早めの申請がおススメ

昨年の「ものづくり補助金」には、約2万5千件の応募があり、約1万件を採択しました。倍率は2.5倍です。

今回の公募は、現時点で一次、二次の2回を予定しており、事業者の皆様にとって、2回、申請のチャンスがあります。 一次公募は、3月14日の中間締切までに申請するか、中間締切から5月14日までの期間に申請するか、いずれか(一次公募における重複申請は不可)を選べます。 一次公募で不採択だった事業者は、事業計画や申請書を見直して、二次公募に再チャレンジできます。 そのため、二次公募の競争率は大変高くなってしまうと予想されます。申請は早いほど良いと思います。

採択のポイントはずばり「革新性」。審査員には「事業目的」をアピール

審査では、事業計画に「革新性」があるかを重要視しています。 「革新性」を2つの視点でPRすることが重要です。 1つ目の視点は、技術やアイディアといった視点です。 これまでの事業の中でどのような改善課題を見つけ出したのか、その課題を解決するための技術面やサービス面でのアイディアは何か、 開発計画における具体的かつ定量的な開発目標は何か、等々をしっかりアピールして下さい。 2つ目の視点は、ビジネスとしての実現性の視点です。 どのようなマーケットを対象とするビジネスに乗り出すのか、そこでのライバル企業に対してどうやって市場競争を勝ち抜くのか、 市場調査等をもとにアピールして下さい。 「様々な分野」とか「多様なユーザー」といった抽象的な言葉は使わないで、具体的に書いた方が良いでしょう。 一般的に、ビジネスは、申請者だけで行うものではありません。顧客があり仕入れ先があって、 そういった地域経済の「サプライチェーン」の中でビジネスは成り立ちます。 ですから、顧客がどのようなニーズを持っているのか、仕入れ先とどのように連携するのか、地域経済全体にどのように貢献するのか、 といった「事業の意味」をアピールすることも重要でしょう。

そうした「事業の意味」をきちんと申請書で表現するために、 まず記述することとしては、何を設備投資するのか、どのように加工するかといった話ではなく、 どんなことを実現するためにどんな商品(サービス)が必要か(事業目的や想定される商売の相手方の状況など)が記載されていることが重要です。 そうしたことを十分に説明した上で、当該事業を実現するために、必要な手段としての設備/人は何か・・・という流れでアピールしてもらえると、審査員の納得感も得られやすくなるのではと思います。 その際、全く新しい製品、サービスを生み出していくことはもちろん、たとえば、他地域にある製品やサービスを、その地域性等を乗り越えて未だ普及していない地域で実現させる、といったものでも十分意味があると言えます。

この視点は、「成長分野型」に応募する場合にも同様です。申請いただく計画が「成長分野型」に当てはまるか否かは、製品や商品の出口が成長分野であるかどうかで決まり、自社の中で完結するような案件の場合は成長分野とはみなされません。 例えば、新型ボイラを設置することで、製造コストやエネルギーを削減したからといって、環境分野に応募することはできません。 新型ボイラのキーとなる燃料噴射装置を開発して環境産業に進出するというような案件でなければ駄目ということです。 こうした観点から、成長分野で応募する場合には、その旨を出口産業の状況から丁寧に申請書に記述していただくといいと思います。

申請書にも工夫を。ものづくりでは「対象類型」の選択に注意。

それから、「ものづくり分野の対象類型をどうすればいいのか」というご相談をよくうかがいます。 基本的には、試作品開発に当たっての課題となる技術分野について、あてはまるものにチェックしていただければいいわけですが、 特に食品加工や木工業についてはよくお問い合わせいただきますので、ヒントを申し上げますと、 食品加工の場合は、味噌やお酒など発酵を用いるものは「10.バイオ技術」、 鮮度を維持する冷凍・冷蔵技術の活用や缶詰・真空パックなどを利用した食味アップや賞味期限の延長などであれば、 たいてい「3.製造環境技術」に該当するのではないでしょうか。ご自身の事業計画に照らして確認してみてください。

また、木工の場合は、研磨や塗り等については「6.表面処理技術」、新しい接着法などであれば「4.接合・実装技術」、 切削などによって効率的に造形を行う場合は「5.立体造形技術」、非常に強度が高い合板を開発する場合は 「8.複合・新機能材料技術」といったように、その加工の特性をとらえてご判断いただくのがいいのではないでしょうか。

利便性を考えて、申請書(事業計画書)に記載いただかなければならない内容を少なくすることで、今回、申請書の枚数は実質3枚になっています。 他方、説明に当たって、わかりやすさの観点から、写真や図面を添付したい、追加の文書や計算書なども添付したいという方がいらっしゃると思います。 申請書類は増える分には構いませんし、減点対象にもなりませんので、必要性を感じたら是非添付するようにしましょう。

また、申請書4枚目は事業者の人材育成や賃上げの取組などに関する加点項目をお聞きする用紙で、提出は必須ではありません。 しかし、この項目に合致すると審査で加点されますので、条件に合うのであれば、忘れずに記述しましょう。

認定支援機関」には、できるだけ早くご相談ください

この補助金では、「認定支援機関」に事業計画の実効性が確認されていることが要件となっています。 事業計画の策定に当たって、是非早い段階から相談に行ってください。支援機関は、無料又は必要最低限の料金で皆様の多様なお悩みに応えてくれることでしょう。 認定支援機関は全国に2万社あり、それぞれ得意分野があります。事業者の事業計画に合った支援機関もきっとあるはず。 万が一、相談に行ったところ、過大な見返りを求められたというような事例があれば、その場で契約しないで、経済産業省などにお問い合わせください。 不適切な認定支援機関については、対処いたします。