地域住民やそこを訪れる人々のコミュニティの担い手として、地域を支える商店街。今回は、商店街をサポートする2つの補助金、「まちづくり補助金」と「にぎわい補助金」を取り上げます。
(※平成25年度補正事業の募集は終了しました。)

補助金申請のポイント

地域を挙げて創業支援を行っている、東京都の多摩地区。官・民・教育機関が連携した取り組みは、全国からも注目を集めています。中核のひとつである認定支援機関のご担当者から、創業補助金の採択へ向けた『サポート内容』と『申請書のポイント』について、お話しいただきました。

中小企業庁 商業課
相川祐太 課長補佐・土田英之・松岡由子

地域を支える「商店街」対策を、ハード面・ソフト面で実施

商店街は、地域コミュニティの担い手として地域を支える存在であり、その商店街の活性化を図るため、商店街施策を実施しております。2014年4月に消費税増税が実施され、影響を受けている商店街の方々もいらっしゃると思いますので、その影響を緩和するための経済対策の一環として、補正予算が措置されている面もあります。

商店街施策のうち、「まちづくり補助金」は商店街の安心・安全を確保することを、「にぎわい補助金」は商店街の恒常的な集客力・販売力の向上を目的にしています。補助対象は、「まちづくり補助金」が安心・安全な生活環境を確保する設備投資(ハード面)の費用、「にぎわい補助金」が需要喚起などを促進する祭りやイベントの開催など(ソフト面)に使う費用です。

地域行政と連携した安心・安全なまちづくり

「まちづくり補助金」を活用できる条件としては、施設、設備の整備というハードに限定した補助であること、地域の行政機関など公的機関の要請があることの2つがポイントです。
暗くて危ないので街路灯を設置して欲しい、アーケードなどの設備が古くなって危ないため撤去して欲しいといった場合に、街路灯の設置費用、アーケードの撤去費用などが補助対象となります。採択案件として多いものは、LED街路灯の設置、防犯カメラの設置、アーケードの改修・撤去が挙げられます。LED街路灯は、商店街が明るくなることで防犯対策につながり、運用面では電気代が安くなるというメリットもあります。アーケード改修・撤去については、老朽化、雨漏り、耐震などによる理由が多いようです。

採択事例については、先行募集の採択事業者を公表していますので、そちらも参考にしてください。

「まちづくり補助金」では、事業実施後の効果を明示

審査でも、申請書に行政機関からのしっかりした要請が記載してあるかを重視して見ています。対象設備・施設を導入することで問題解決への効果が現れることを明示することも重要です。効果については、歩行者通行量とアンケート調査の結果や地域の犯罪件数など独自で設定いただいた安心・安全の指標の数値が、5年を通して良くなっていくよう計画を立ててください。歩行者通行量と安心・安全の指標は、申請前とその後5年間計測する必要があります。同じ条件で計測しないと数値が減少してしまう可能性がありますので、測定した日付・曜日・時間帯などもきちんと記載しておきましょう。

行政機関と連携した取り組みは、より高い評価となります。例えば、防犯カメラを設置する事業で、警察からカメラの設置方法、プライバシーを配慮した撮影後の画像を保存する方法などのアドバイスをもらえる場合などは、高い評価が得られる可能性が高いので、ぜひ記載してください。当補助金以外に、市町村の補助金も活用して事業を行うなど、市町村との協力体制、連帯感が見える場合も高い評価が期待されます。行政機関との連携について記載する欄は、詳しく記載いただくと良いと思います。
また、商店街組織に若手や女性などが積極的に参加されている場合はその旨明記していただくと、地域コミュニティを担う人材の新陳代謝が図られていると捉えられ、評価できます。

申請書の記載で指摘が多いものは、経費関連です。「経費明細」欄について、項目を1つに纏め、金額を記載されているものが見受けられますが、防犯カメラ、アーケードなど、項目別にご記入をお願いしています。
「事業に要する経費」欄については、補助金が確定払いで事業終了まで入金されないことから、事業の実施が可能であることを証明するために、資金の調達、返済の計画を詳しく記載する必要があります。自己資金で賄う、お金を借り入れるといった漠然とした記述では実現性の判断が困難です。いくら積立額があり、不足分の金額をどこの銀行から借りて、何年間で返済する、といった具体的な計画を明記ください。

「まちづくり補助金」は、緊急経済対策という側面があるので、ぜひ、皆様の商店街の安心・安全対策に積極的にご活用いただければと思います。

商店街をより親しみやすく!

「にぎわい補助金」は、「まちづくり補助金」と対照的に、商店街の需要喚起や、持続的に活性化していくソフト面の取り組みを支援します。

「にぎわい補助金」の補助上限額は、申請主体の連携規模に応じて3つあります。単独~4商店街組織で連携して申請する場合は400万円、5~9商店街組織で申請する場合は800万円、10商店街組織以上で申請する場合は1,200万円が上限になります。
10以上の連携での申請はあまり多くないですが、例えば、東京都内の商店街振興組合連合会が地区内10の商店街で連携してイベントを行うというものがありました。市役所が当補助金に着目されて、実施を検討することもあります。各商店街を回るスタンプラリーや、広場など1ヶ所に集結してイベントを実施するなど、形式は自由です。
イベントが違えば、複数組織での申請と、単独での申請を同時に申請することも可能ですので、状況に応じて広く活用していただければと思います。

具体的な採択案件としては、例えば、商店街活性化の「三種の神器」に関する企画があります。「三種の神器」とは、「100円商店街」、「まちゼミ」、「バル」のことです。
「100円商店街」は、普段は各店舗がそれぞれ値段を設定しているところを、開催日時に限り、各店舗が100円で販売できるものを店先に出し、商店街全体で100円商店をつくるというものです。100円価格になるように、食料品を切り売りする、文房具を通常より特売にする、マッサージを3分間するなど、各店舗がどうやって100円商品をつくるかを考え出すところが成功の鍵になります。

「まちゼミ」は、各店舗がゼミ(講座)を開催し、地域住民や商店街の来訪者に向けて、お役立ち情報を提供するものです。例えば、カメラ店が"自分の子どもを綺麗に撮影するには?"といったテーマでアドバイスする講座や、ワインの販売店が、ワインの知識などを説明する講座などがあり、店舗ごとに開催時間を変えることで、興味ある講座に参加いただけるようにします。商店街の店舗はなかなか入りにくいという声をよく聞きます。店舗規模を考えると各講座の定員数は少数になることが多いですが、店舗の中や店主を知ってもらことで次の来店が期待でき、効果的です。講座では、基本的に物の販売も行わないため、気軽に参加できることも魅力だと思います。

「バル」は、スペインが発祥です。あらかじめ、「バル」に参加したい店舗は登録をしておき、お客さんは開催時に共通チケットを購入すると、このチケットと引き換えに参加店舗で食べ歩きができる仕組みです。「バル」は、飲食店中心のイベントであるため、商店街の店舗の中に物販が多い場合は、不向きかもしれません。「まちゼミ」同様に、普段入りにくい店舗でも、チケットが余っているから入ってみようなど来店を促進でき、結果、次回の来店につながるという効果が見込めます。

「三種の神器」は、地域住民など商店街の利用者に、店舗を知っていただくきっかけになり、その後、持続的に商店街を利用していただくことにもつながります。昨今では、近隣に住んでいるけれど、普段は大型スーパーを利用していて商店街にあまり行っていないという方もいらっしゃるかと思います。かつては商店街を利用していたが、足が遠のいてしまったという方を呼び戻すためにも効果的かもしれません。
「三種の神器」に関する事例は、各自治体や書籍などでも紹介されていますが、単純にマネしただけではうまくいかなかったという失敗談も聞かれるため、計画の際は、専門アドバイザーなどにご相談いただくと良いと思います。

先日採択公表を行った2次先行募集では、夏祭りに関する申請も目立ちました。先の予定が決まっている商店街は、秋祭りまで計画されているようです。これまでの先行募集の採択事業者は公表していますので、そちらも参考になさってください。

「にぎわい補助金」では、人を呼び込む新しい取り組みを記載!

「にぎわい補助金」の、採択のポイントは3つです。

1つ目は、申請内容が新しい取り組みであり、その取り組みによって、商店街への来訪者が増えることが明示されていることです。どういった点がこれまでにない取り組みなのか、それによってどういう方々に来てもらうことを想定しているのか、といった点について記載いただくことが重要です。
地域には、商店街自体があるのは知っているけれど、どんなお店があるかよく知らないという方もいらっしゃると思います。そうした方への認知を広める工夫も評価しています。
また、イベントを契機に中長期的な商店街の活性化につながることを目標としていますので、併せて、「取り組みが単発で終わらず効果を維持するための工夫、資金の手当て」の欄に、継続的な取り組み、計画を記載いただくと評価されます。
新しい取り組みというところでは、昨年度にこの補助金を使って事業を実施した事業者が、本年度に再度チャレンジすることも可能です。その場合、全く同じ取り組みではなくて、過去の採択案件の実施を踏まえて、今回どのような工夫を施しているのか、部分的でも結構ですが、何らかの新たな取り組みを計画いただく必要があります。1度応募すると申請書の書き方に慣れるところもあると思いますので、ぜひ2回目以降の応募もご検討ください。

2つ目は、内容を具体的に記載いただくことです。具体性に欠けると審査ができません。「事業概要」にイベント名しか書いていないということではなくて、事業がイメージできるよう、内容は可能な限り具体的にご記入ください。

3つ目は、商店街が企画・運営の主体となっていることです。専門機関などにアドバイスを求める場合もあると思いますが、企画会社などに企画をすべて任せるということではなくて、企画も実行も、商店街が中心となって実行することが重要です。費目上でも委託費は金額の制限をしています。申請書においても、商店街が主体的に動いていることが伝わる記載になっているか、確認いただくと良いと思います。
地域NPO、学生など地域との連携がある場合は、そちらも記載していただくと評価が高くなってきます。

より補助金が使いやすくなる、支援策とは?

「まちづくり補助金」と「にぎわい補助金」と併せて活用できる支援策もあります。

申請者は商店などの経営者であることも多く、お店を経営する傍ら、1つの事業計画を書き上げるのは大変という声も耳にします。そういった方々には、「商店街よろず相談アドバイザー派遣事業」の活用がお薦めです。この事業においては、全国商店街支援センターに登録されているアドバイザーの派遣を行っており、申請書作成時のアドバイスも受けることができます。問い合わせは、まずは最寄りの経済産業局にご連絡ください。

また、資金繰りについても支援を行っているところです。
株式会社商工組合中央金庫(商工中金)が創設した「商店街支援補助金つなぎ資金制度」では、採択事業者が、各補助金が交付されるまでのつなぎ資金を借り入れることが可能です。つなぎ資金のご相談は、各補助金の申請書を書くタイミングと併せても受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

その他、「まちづくり補助金」には、「商店街まちづくり事業(補助金)の概算払い」という個別の資金サポートがあります。採択事業者のお悩みの声から創設した制度で、採択事業者は、設置工事などの事業の一部が終了し、費用を支払った時点で、事業全体の完了を待たずに補助金の一部を受け取ることができます。対象は、平成26年3月以降に「まちづくり補助金」の交付決定を受けた補助金の額が3,000万円以上の採択事業者です。ただ、見積もりを出していただくなどで、申請書作成には時間がかかることが見込まれますので、申請書準備期間は考えていただいた方が良いと思います。

申請を検討される皆様が、これらの支援策を併せて活用されることで、より応募される商店街が増え、商店街が活性化するとともに、地域が良くなることにつながればと思います。